話す言葉と書く言葉の違いを意識して制作してますか?

芸術的な文章でつづられた小説。
そのまま声を使って読みさえすれば、聞く人を感動させるすばらしいスピーチに……。
決してそうは、なりませんよね?
文字列から読み取ることを前提に、言葉の順序まで計算された小説やエッセイなどの文章。
一方、声を使ってメッセージを分かりやすく伝えるスピーチやアナウンス。
このふたつ、つまり書き言葉と話し言葉では、原稿をつくる場合も読む場合も、ベースとなる考え方を変える必要があります。
その理由はたったひとつ。
言葉を受け取ったとき、視覚経由か聴覚経由かでは、理解までのプロセスがまったく異なっているからなのです。
声で伝えるための原稿のコツ
文章の長さと理解度の関係を意識する
書き言葉は読点でつないでいけば、かなり長く複雑な修飾関係を持つ内容であっても理解できます。
ところが声だけのメッセージを聞いてもらう場合、入り組んだ構造の文章は、ほとんど理解してもらえません。
なぜだかお分かりですか?
目を使って読む場合、書かれている意味を理解するまで、何度も行ったり来たりしながら読み返すことができますよね。
ところが耳から入った言葉は瞬時に消えていくもの。
よほど記憶力がよければ別ですが、だいたい人間が一度に覚えられる単語は3つから5つと言われています。
倒置法や引用の中の係り結びなど、今出てきた単語が、前にあったどの言葉と関連しているのかを確認しようと思っても、難しいのです。
声を使って伝えるための原稿は、それを踏まえて作ると伝わりやすいものにできます。
長くて読点の多い文章にせず、短文の集合体で組み立てていくのです。
そうすれば話し言葉らしくなり、要点もまとまって自分でも読みやすくなります。
読みやすいなら発声も明瞭にできますし滑舌の面でも有利になるのです。
文章を書きなれている人ほど「短文ばかりでは稚拙に感じられるのでは」と、難しい内容にしてしまいがちですが、そこはぐっと我慢して伝わりやすいかを考えてみてください。
書かれた文章を読むときは
声の表現に使う原稿をつくる場合は内容の書き方を考えれば問題ないのですが、もともと書き言葉として出来上がった文章をそのまま読む機会も多いかと思います。
朗読やオーディオブックなどが、その代表例ですね。
こういったものを読む場合、気をつけたいのがブレス。つまり息継ぎです。
あくまでも“文章の内容”を伝えるのですから、息を継ぐ場合もそれに従わなければなりません。
適当なブレスによって、内容がまったく頭に入らなくなることは、よくある話。
読点や句点で入れておけば大丈夫かといったら、そういうものでもないのです。
文章構造によっては、長い間息継ぎができないものもあるでしょう。それでも声に表情を持たせたまま伝わるように読むには、呼吸法や声の出し方といった基本のスキルをしっかりと持っておく必要が出てきます。
原稿を読むのが仕事のナレーターは、原稿を手にするとブレスすべきポイントをチェックします。
ベテランともなると原稿をもらった端からペンを持って遠慮なくバシバシと書き込みはじめ、あっという間に原稿はブレスマークで埋まります。
そこに声の表情や、強調したいポイント、意味合いに対してのすりあわせが入り、満足していただけるナレーションができあがっていくのです。
行き当たりばったりのブレスは、とちる大きな原因になります。
読む経験の浅い方には結構多いのですが、位置を考えていたとしても、人前に出ることで緊張してブレスを忘れてしまい、ペースが崩れてさんざんな結果になってしまう。
読む前には必ず、しっかりと息が続くかまでを含めて事前チェックをしたほうがよいでしょう。
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